親知らずの抜歯 ええい、勝負っ①
2025.02.02
若いころ大学病院の口腔外科で修行していました。
口腔外科とはお口まわりの外科で、口の中の癌、顎の骨折、感染症、神経疾患などをあつかう診療科です。
当然、開業医さんには手に余るような、むずかしい抜歯も行います。
その日も近所の歯科医院から、下顎に深く埋伏している親知らず抜歯の依頼がありました。
(あちゃぁ、随分深いところに水平に=横に寝そべって 埋まってるなあ。下顎の神経もちかいとこ走ってるし、こりゃ抜くのはめんどいぞ。ふるふる、おりゃごめんだな)
などと、不遜にもレントゲンを見ながら思っていると、隣にいた指導医の先生がおもむろに、
「よし、君が抜いておくように」
「へ?」